「大熱狂!!プロ野球カード」 12球団公式ライセンスという挑戦

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プロ野球が好きな人なら、一度は名前を目にしたかもしれません。「大熱狂!!プロ野球カード」

gloopsが手がけたソーシャルゲームのなかでも、ひときわ目を引く一本です。

理由は、日本プロ野球全12球団の公式ライセンスを使っていたから。

実在の選手が、そのままゲームのカードになる。ほかのタイトルとは、出発点からして違いました。

ここでは、この一本が何に挑んだのかを掘り下げます。

実在の選手がカードになるゲーム

「大熱狂!!プロ野球カード」の提供が始まったのは2011年

Mobage向けのソーシャルゲームでした。プレイヤーは選手のカードを集め、育て、自分だけのチームを組み上げていきます。

応援している球団の選手を、手元でそろえる。プロ野球ファンにとって、これはわかりやすい魅力だったはずです。

当時のgloopsは、大乱闘シリーズを軸に会員数を伸ばしていた時期。その勢いのなかで、実在のプロ野球という題材へ踏み込んだのが、このタイトルでした。

好きな選手のカードを引き当て、そのカードを強くしていく。実在の選手が相手だからこそ、当たり外れにも一喜一憂できます。テレビや球場で見た選手が、手のなかのカードとして自分のチームに加わる。この距離の近さは、架空のキャラクターでは出しにくい種類の魅力でした。

「公式ライセンス」という重み

このゲームの核心は、日本プロ野球全12球団の公式ライセンスにあります。

実在の選手やチーム名を、正式な許諾のもとで使う。これは、ゲームの中身を作り込む以前の、大きなハードルです。

ライセンスを扱うとは、権利元との交渉が要るということ。

名称やブランドは、勝手に使えるものではありません。12球団すべてとなれば、その手間は一つや二つでは済まないでしょう。そこをクリアして初めて、「本物」を看板にできます。裏返せば、ライセンスのないゲームには出せない説得力を、公式という一点で手にできるわけです。

全12球団をそろえた意味

日本のプロ野球は、セ・リーグとパ・リーグ、あわせて12球団で成り立っています。

「大熱狂!!プロ野球カード」は、その全12球団の公式ライセンスを取得していました。

一部の球団だけでなく、すべてをそろえる。ここには実利があります。どの球団のファンであっても、自分の応援するチームの選手を遊べるということ。特定のファン層に絞らず、プロ野球ファン全体を対象にできます。一球団ずつの許諾を積み重ねた先に、この網羅性がありました。人気球団だけを押さえる手もあるなかで、12球団すべてに広げた点に、このタイトルの本気度が表れています。

数字が示した手応え

挑戦は、数字となって返ってきました。「大熱狂!!プロ野球カード」は、2012年2月に会員数300万を突破しています。

gloops全体の累計会員数は、2011年11月の時点で1000万を超えていました。そのなかで単一のタイトルが300万に達したのは、小さくない規模です。プロ野球という国民的な題材と、カードを集める楽しさ。この掛け合わせが、多くのユーザーを引き寄せたと見られます。

300万という数字は、一朝一夕で積み上がるものではありません。カードを集めるうちに愛着がわき、また続けたくなる。

実在の選手という題材は、そうした継続の動機とも相性がよかったのでしょう。ふだんゲームをあまり触らない野球ファンにも、入り口として届いた可能性があります。

カード収集というジャンルの時代

このヒットの背景には、当時のソーシャルゲームの潮流もあります。

カードを集め、育て、対戦する。いわゆるカードバトル・カード収集型のゲームは、この時期に大きく広がったジャンルでした。

gloopsの大乱闘シリーズも、その系譜にあります。プロ野球カードは、すでにあったカード収集の仕組みに、公式ライセンスという要素を掛け合わせた作品でした。慣れ親しんだ遊び方の上に、実在の題材を乗せる。そうした発想が、この時期の同社の持ち味の一つだったのでしょう。

「本物」を扱うということ

架空のキャラクターではなく、実在の選手。オリジナルの設定ではなく、公式のライセンス。

「大熱狂!!プロ野球カード」がやったのは、確立した仕組みに「本物」を持ち込むことでした。

そのぶん、交渉も責任も重くなります。それでも踏み込んだところに、当時のgloopsの勢いがうかがえます。ファンの熱と、公式の看板。二つが噛み合った一本だったのではないでしょうか。